イタリア人との国際結婚手続は手続きのやり方が、「場所」や「方式」をどう選ぶか、で、ちょこっとずつ違ってきます。
カテゴリ分けすると下の表みたいな感じです。
結婚手続きをする場所(国) | ||||
日本 | イタリア | 第三国 (例:アメリカ) |
||
手続きの方式
|
日本方式 | ① | ③ |
⑤
|
イタリア方式 | ② | ④ | ||
その他 | × | × |
私たちは手続き上一番スムーズな、日本で日本方式の結婚手続きをする①の方法を取りました。
余談ですが⑤は、例えば、アメリカに滞在しながらイタリア人と結婚する、というケースです。お互いの母国ではないところでの手続き、すごく面倒そうですよね。実際どうやるんでしょう?
この記事では ①日本で日本方式の結婚手続をする方法を紹介していきます。
0. 準備する書類一覧
書類にも準備ができる順番もあるので順を追って紹介していくつもりですが最終的には下記のような書類を準備しました。結婚手続の後、夫婦そろって日本に住むにはイタリア人側のビザが必要になります。
用意する書類 | 用意する人 | 入手先 | 枚数 | コメント |
---|---|---|---|---|
パスポート | 両人 | - | - | まぁ持ってますよね… |
日本人の戸籍全部事項証明書 | 日本人 | 日本の役所 | 2 | 本籍がある地域の窓口やマイナンバーカードを使って取得できます。 |
日本の婚姻届 | 日本人 |
|
1 | 様式はゼクシィや文具屋さんで手に入ると思います。 |
婚姻要件具備証明書 | 日本人&イタリア人 | 在日イタリア大使館 | 1 | Nulla Ostaとも呼ばれる。入手手順は後述。 |
イタリア人の住民票 - CERTIFICATO DI RESIDENZA
または 短期滞在ビザ |
イタリア人 | イタリアの役所 | 1 | 出生証明書の補足用。場合によっては戸籍証明書も必要。 |
イタリア人の出生証明書(しゅっしょう しょうめいしょ) - CERTIFICATO DI NASCITA | イタリア人 | イタリアの役所 | 1 | 手続きに必須の書類。
日本の市役所はイタリア人側の出生証明書を求めてくるが、それで不足ある場合、戸籍証明書が必要な場合もあるとのこと。 イタリア人側の
|
イタリア人の戸籍証明書 - CERTIFICATO DI STATO DI FAMIGLIA |
イタリア人 | イタリアの役所 | 1 | 出生証明書の補足用。場合によっては、住民票も必要。 |
イタリア人出生証明書の翻訳文 | どなたでも | 自分で作成するなど | 1 | 翻訳は自分でやってもよい。翻訳例を後述します。 |
イタリア人の戸籍証明書の翻訳文 | どなたでも | 自分で作成するなど | 1 | 翻訳は自分でやってもよい。 翻訳例を後述します。 |
さらに、このあとにイタリア大使館からもらえる結婚証明書を持ってイタリア人側の日本在留のビザ申請をしていくことになります。
1. イタリア人との国際結婚でする手続き
結婚の手続きは大きく分けて3つのことをする必要があります。
- 大使館で配偶者(イタリア人)の結婚要件具備証明書を取得する
(結婚の許可証みたいなものですね)
- 婚姻届
(日本人同士の結婚もこんな感じ)
- イタリアへの結婚報告
(というより登録なんだけど…)
これらを順番にやっていくのですけど、なんとも手間のかかること。順を追っていくと下の図のようになります。
パッと見、うわーと思いますけど、順を追っていきましょう。
2. 書類準備
まずは、書類準備から。
イタリア人側の準備する書類
基本的にイタリア人側の居住地で取得できます。
日本の市役所が必要とする書類は「出生証明書」のみのはずですが、その書類の記載事項が「名前」、「生まれた場所」、「生年月日」だけの内容だった場合、 補足としていくつか書類を用意する必要があります。
私たちは念には念を入れる形で3種類の書類を用意し、それぞれにイタリアの当局にアポスティーユを付けてもらいました。
結果的にはアポスティーユは不要だったのですが…不足があったら、あとから大変ですもんね。
- 出生証明書 - CERTIFICATO DI NASCITA
- 戸籍謄本 - CERTIFICATO DI STATO DI FAMIGLIA
- 住民票 - CERTIFICATO DI RESIDENZA
そして手続きの際には必ず パスポートや イタリアの国民ID証を持っていきましょう。
日本人側が準備する必要のある書類
手続きを始める最初の段階では下記を用意しておきましょう。
- 戸籍全部事項証明書 2通
(自分の本籍がある市役所で結婚する場合は1通) - 住民票 1通
そしてイタリア大使館に行くときは パスポートをお忘れなく!
3. 結婚要件具備証明書を取得するんだ!
婚約者の方が日本に着いたら、いよいよ共同作業の始まりです。
行先はイタリア大使館。駅はJR田町駅。入り口がわかりにくいですが正門を少し行き過ぎたところにある通用門にインターホンがあるのでピンポンを押して門を開けてもらいます。
関西在住の方は大阪にも領事館があるのでそちらで手続きください。
出入り口に着いたら呼び鈴を押して中に入れてもらいます。セキュリティーチェックで名前とパスポート番号を守衛さんに提示して入館します。
手続きの窓口に着いたらやることはイタリア大使館のサイトに書いてある通り
- 申込書を書いて提出
- イタリアから持ってきた出生証明書などの書類の提示。
- 日本人側の戸籍謄本を提出。
(住所確認用に、求められたら住民票も提示)
以上でお終い。あとは結婚要件具備証明書を15分程度で発行してくれます。窓口で一緒に中身を確認して、その日はお終いです。
ちなみに…
結婚要件具備証明書発行申請書を事前に準備する場合はこちらの書類を利用してください。
4. 婚姻届用の書類の準備
そして、ここからが本番。
イタリアから持ってきた書類を日本語に翻訳する必要があります。
二人とも行政用語の日伊対訳が分からないので、辞書を見ながらか考えて作りました。ここをプロにお願いしてしまうのも手ですよね。
(通常料金だと1枚 5,000~10,000円くらいになるのかな?)
翻訳をするときは、
- 3つの書類で日本語の表現が一貫すること
(「納税者番号」なんかあちこちに出てきますね) - 市役所の人が原本と翻訳書類を見比べやすいように翻訳書類と原本がフォーマット上一致すること
- 空きスペースに翻訳者の名前、住所、サイン、印鑑を押すこと
を気にしました。逆に、原本に書いてあるイタリア語の"但し書き"は全部略してしまいましたが、それでも大丈夫みたいです。 要は、氏名、生年月日、住所、出生地、父母の名前が原本のどこに書いてあるかわかるような書類があればよいということです。
下記の書類のフォーマットは地方によって若干違うみたいですがカンパニア州サレルノ県が発行した書類の翻訳で使った単語と翻訳例をリンクしておきます。
イタリア語 | 日本語訳 |
---|---|
Estratto dell'atto di nascita | 出生証明書 |
Certificato di nascita | 出生証明書 |
Certificato di residenza | 住民票 |
Certificato di stato di famiglia | 戸籍謄本 |
Servizio dello stato civile di -- | 各種届出・証明窓口: -- |
Data e luogo di nascita | 生年月日および出生地 |
Nato a -- | 出生地: -- |
Stato | 国 |
Cognome | 苗字 |
Prenomi | 名前 |
Sesso | 性別 |
Codice fiscale | 納税者番号 |
Atto n. | 出生証明書番号 |
Intestatario | 世帯主 |
Padre | 父 |
Madre | 母 |
Moglie | 妻 |
Figlia | 娘 |
Figlio | 息子 |
Altre enunciazioni dell'atto | 特記事項 |
Data di rilascio | 発行年月日 |
In base alle risultanze dell'Anagrafe della Popolazione Residente | 住民登録台帳の内容に基づいて |
- 和訳 出生証明書 - ESTRATTO DELL'ATTO DI NASCITA (CERTIFICATO DI NASCITA)
- 和訳 戸籍謄本 - CERTIFICATO DI STATO DI FAMIGLIA
- 和訳 住民票 - CERTIFICATO DI RESIDENZA
5. 婚姻届
ここまで用意した書類と婚姻届を持って市役所に行くと、あとは日本人と同じような手続きで入籍できます(日本人同士の結婚同様、証人の立会は義務ではないですよ)
これで、めでたく夫婦です!^^ノ
婚姻届の書き方は、神戸市役所の婚姻届記載例でご紹介されているものを参考にしました。国際結婚の場合は、夫婦別姓にするか同姓とするか選ぶことができます。むしろ、同姓にする場合は手続きが多くなるので面倒ではあります。
しかし、 イタリアでは夫婦別姓のほうが普通。
改姓するほうが日本人でしたら、そこは同姓がスタンダードな日本。パスポートの改姓手続き他…も楽なはずです。しかし、うちの場合、妻の苗字を変えてしまうと、イタリアでのパスポートの改姓手続きとか、すごくめんどくさそう…ということで別姓を選択しました。
さて、婚姻届後、初婚の場合は戸籍を新しく作ると思いますけど婚姻手続きをする市役所と別のところに戸籍を置くことにすると市役所間のやり取りで送付に1週間、受領して新しい戸籍を作成するのに1週間、と合計2~3週間かかります。
私の場合、将来の転勤等も考えて、実家のあるところに置きましたので、電話で催促を入れて1週間強かかりました。
(催促を入れると速達対応してくれたりします)
6. 最後にイタリアへの登録
さて、イタリアのほうにも結婚の登録が必要になります。
こちらは、再び大使館ですることになるのですが、今度は外務省の後ろ盾も必要になってきます。
まず、大使館へ提出する書類は下記二つ。
婚姻届後、しばらくすると取れるようになります。
- 婚姻届受理証明書
婚姻届後2~3日から取得可能
- 新戸籍全部事項証明書
婚姻届後1~3週間から取得可能
これらを外務省へ持っていき、アポスティーユをお願いします。
やり方は外務省のサイトに丁寧に書いてありますが、上記2点は公文書なので外務省に郵送で申請できます。
手続きの詳細は外務省の手続きの説明が書いてあるページを参考にしてください。
そして外務省から返送されてきたアポスティーユのついた書類をイタリア大使館へ持っていけば完了です!大使館訪問時はパスポートをお忘れなく!!
7.そして次の戦いへ
さぁ、これで終わりとしたいところですが、イタリア大使館の方がビザの取り方説明してくれる傍ら 結婚届受理証明書の受理証明書を発行してくれます。
そうです。妻が日本に住むにはビザが必要です。
これがまた大変でした。その手続きについては、また次回。
参考
問い合わせをいただきましたがイタリア本国から正式な「手続き完了書類」なるものは結婚後2年たっても送られてきません。
日本国内でのビザ申請では前記の大使館から発行される受理証明書で十分仕事をしてくれるのですが、何らかの事情でイタリア国発行の婚姻証明が必要な場合は、おそらく大使館に手続きをお願いする必要があると思います。
他方で、先日、義父が市役所に行ったとき「おぉ娘さん日本に嫁いだんだってな!大使館から書類きたから登録しといたよ」ということになったということだし、別途イタリア地方選の選挙案内も日本に届いてるので、手続き自体は完了しているはずです。
② 日本でイタリア方式の結婚手続をする場合
こちらは日本にあるイタリア大使館で結婚手続きをする方法ですね。在日本イギリス大使館が同性婚をホストしたニュースが有名ですね。大使館で手続きが完了すると、結婚手続きとしては、それで十分なようです(?).
外国人が日本にあるその国の大使館又は領事館にその外国の方式により婚姻届出をした場合には, 日本の戸籍届出窓口への届出は不要となります。 法務省:国際結婚,海外での出生等に関する戸籍Q&A
③ イタリアで日本方式の結婚手続をする場合
- 情報募集中
④ イタリアでイタリア方式の結婚手続をする場合
- 在イタリア日本大使館:イタリアにおいてイタリアの法律に基づいて婚姻する場合の手続き
※ 情報が少し古く、現在は、PUBLICAZIONE DI MATRIMONIOは不要かもしれません